月次レポート2018年3月号

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月次レポート2018年3月号

豪政府、大きな税改正を提案 - 小規模事業者のキャピタルゲイン減税資格について

財務相は、キャピタルゲイン税(CGT)に関する小規模事業者減税措置(「SBC:Small Business Concession」)について、新たな「誠実性改善」条項を含む法案を発表しました。SBCには、15年間の免税措置、退職免税措置、生産資産50%圧縮、およびCGT課税繰延制度(Roll-over relief:小規模事業のストラクチャー変更の際にGST課税を繰延べできる制度)が含まれます。

政府は「誠実な小規模事業者である納税者を継続的に支援」しています。そのため、小規模事業又は小規模事業の所有持分に関してのみ、CGTや SBCが適用されるような修正を提案しています。

主な変更点には、追加的基本条件が含まれています。これは、納税者が会社株式または信託の受益権(すなわち、ユニットトラストの投資口)に起因するキャピタルゲインにCGTや SBCを適用するために満たさなければいけない要件となります。

税務上の整合性を確保するための構想も立てられています。その目的は、比較的大きな事業の所有持分が減税措置の適用資格テストに含まれてしまうことがないように対処によって、小規模事業とは無関係な資産が減税措置の対象となってしまうことを防止することです。

改正案では、この措置は2017年7月1日に遡及して適用されます。

Editor: 改正案が提案通りに採択された場合、会社株式又はユニットトラストの投資口を保有する納税者が当該事業の権益を処分しようとした場合、CGTやSBCの適用が大幅に制限されます。

これは、資産を保有する事業体が、上述のような持分を保有する場合に特に当てはまります。 (「資産を保有する事業体」には、事業資産を保有していたり、別個の事業体であっても関連する事業体にその資産をリースしている事業体が該当します。)

これらの措置のうち、より厳格な部分は修正を加えて緩められることが期待されています。しかしながら、改正案は遡及的に(2017年7月1日から)適用されるため、株式又は投資口の売却に関連したSBCについては慎重を要します。 

オーストラリア税務局(ATO)、業務関連費用に注目

今年度、ATOは、個人タックスリターンの「その他」業務関連費用の控除申請がどのように行われているかについて、厳しい目を注いでいます。そのため、納税者が「その他」費用の控除申請をする場合は、以下について証明できることが重要となります。

  • 自身で費用を払ったが、払戻しは受けていないこと。
  • 費用は職業に直接関係していること。
  • これを証明する記録を保持していること。

費用が業務と私的目的の両方について使用された場合には、納税者は業務関連の部分についてのみ控除申請できます。重要な点は、納税者は標準的控除額を自動的に適用することはできず、金額の算出方法を示さなければならないことです。

Editor: 「その他」業務関連費用とは、従業員が負担した旅費、衣料費、自己啓発費用など以外の業務関連費用であり、ホームオフィス費用等がこれに相当します。

 

納税者、消費した資金の出所を説明できず

タックスリターンで申告された控えめな所得額と比較して、多額な資金の出入が様々な口座を通してあったことから、行政控訴裁判所 (the Administrative Appeals Tribunal)は、ビューティーテクニシャンに対するATOの課税処分を支持しました。資金の出入の例をあげると、申告された2015年度の所得は61,842ドルであったにもかかわらず、彼女の銀行口座や国際送金の記録、カジノで記録されたデータを分析したところ、支出額は107,328ドルを示していました。

控訴裁判所は、ATOが実質的には納税者の所得額を「情報に基づいて推定」していることを認めた上で、このような事例では、その推定額に合理的な根拠があるならば、ATOの課税処分は有効であるとの判断を下しました。但し、納税者が以下の二つの事項を証明できた場合はこの限りではありません。

  • 課税処分の金額が過剰であること。
  • 正確な(又はより正確な値に近い)額を提示できること。

納税者と証人の陳述、及び書類の検証といった審理の後、控訴裁判所は、課税処分の額が「過剰である」ことを、納税者側は立証できなかったとしました。
特に、審理においては、納税者側から所得額と支出額についての説明がありましたが、その説明の裏付けとなる客観的事実が伴いませんでした。控訴裁判所が、納税者側の立証を不十分とする根拠は以下の通りです。

  • 納税者の銀行口座を通じた「過剰売買」
  • 銀行口座以外の同時記録の不在(例えば、給与明細を受取ることなく常に現金での支払いを受けていた)
  • 他の証人による確定証拠の不備。

控訴裁判所は、課税処分を支持すると同時に、ATOが納税額に75%の行政罰金を上乗せしたことも適切であるとしました。

 

ウーバーのドライバーは「従業員」ではない

最近の事例で、ウーバーのドライバーが適切な総合評価を維持できなかったため、当該アプリへのアクセスを取り消されてしまう、ということがありました。ドライバーはオーストラリア公正労働委員会(FWC)に、ウーバーによる不当解雇を訴えました。しかし、FWCはドライバーは独立契約者であって「従業員」ではないと判断し、不当解雇の申立ては却下されました。

Editor: これは税務訴訟ではなかったものの、「ギグエコノミー」に携わる人が明らかに関心を寄せる事項であり、スーパーアニュエーション保証等、他の雇用問題に影響を及ぼす可能性があります。

小規模事業者の新ベンチマークを発表

ATOは2015/16財務年度の最新データを用いて小規模事業者のベンチマークを更新しました。
ベンチマークは事業者が業界平均並みの業績を達成しているか確認する他に、ATOが高リスク事業を特定するための手段のひとつとなっています。

Editor: ATOは監査対象の選出にベンチマークを使用しています。貴社のデータが業界の平均的なベンチマークの範囲内であるかどうかの判断をご希望の場合は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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