従業員への経費精算(Reimbursement)に対するGST控除の申請
雇用主は、事業活動において発生した経費を従業員に払い戻した場合、GST控除(ITC – Input tax credit)を請求することができます。
「経費精算」は、納税者(雇用主)が従業員に対し、従業員が負担した業務に関連する費用の全額、又はその一部の払い戻しを行うことです。
雇用主は、従業員に手当を支払う場合や、以下のような発生すると予測される費用(Notional expense)を支払う場合は、GSTインプットタックスクレジットを受けることはできません:
- Cents per km手当
- 出張手当
- 食事手当
「手当」は、納税者が従業員に対して、発生するであろう経費の予想額を支払うもので、もしその金額が実費を超えていても従業員に返済を要求することはありません。
納税者は、払い戻しを受ける購入品の領収書など、経費精算を立証するのに十分な証拠を保持することが求められます。
課税支給額の年間報告書(TPAR)の提出
ATOは企業に対し、以下のサービスを提供する請負業者への支払いについて、ATOに課税支給額の年間報告書(TPAR)の提出が必要あるか確認するよう呼び掛けています:
(a) 建築および建設;
(b) 清掃;
(c) 宅配便および道路貨物;
(d) 情報技術;
(e) 警備、調査、監視
TPARの提出期限は毎年8月28日で遅れた場合はペナルティが課されることがあります。企業は、請負業者への支払いをすべて記録しておくことで、TPAR に備えることができます。TPARを提出する必要のない企業はNon-lodgement adviceを提出することで、不必要なATOからの連絡を避けることができます。
申告義務や申告方法など、TPARの詳細についてはATOのウェブサイトをご参照下さい。
2023会計年度における控除に関する変更点
自宅を仕事場とする小規模ビジネス経営者や、仕事で車を使用している納税者は、今年度の確定申告時に控除を申請する際、以下の変更点に注意する必要があります。
Cents per km法 ‐ この方法を使って自動車経費を計算する際のレートが、1キロメートル当たり72セントから78セントに引き上げられました。 このレートには、登録料、燃料費、整備費、保険料、減価償却費等、全ての経費が含まれるため、これらの費用を個別に控除申請することはできません。
事業主のCar limit – 2023所得年度から、Car limitが64,741ドルに引き上げられました。Car limitは 、以下の条件を満たす乗用車の減価償却費を計算するための取得価額の上限です。
- 1トン未満;かつ
- 乗車定員9人未満(オートバイまたは類似の車両を除く)
在宅勤務経費 – 2023年の所得年度からは、在宅勤務(自宅で事業を営む納税者の場合)の経費算出法の一つである「定率法」が1時間当たり52セントから67セントに引き上げられ、自宅に専用の仕事スペースを設ける必要がなくなりました。
定率法に含まれる費用には、電気、ガス、文房具、コンピューター消耗品、インターネット、電話通話料などがあります。
また、ノートパソコンやオフィス家具の減価償却費など、定率費に含まれない経費を別途控除することも可能です。
編集者:これらの控除申告について、記録の仕方を含め、サポートが必要な方は当事務所までご連絡ください。
ダウンサイザー拠出(Downsizer Contributions)措置の対象拡大
ダウンサイザー拠出は、高齢者が対象となる住居を売却した際に、売却金の一部をスーパーアニュエーションへ拠出することを認めるために導入されました。
対象となる個人が、主たる住居として使用していた対象住宅の売却金から最高30万ドル(または夫婦で最高60万ドル)をスーパーに積み立てることができます(Non-deductible contributions)。
ダウンサイザー拠出はスーパーへの拠出額の上限に含まれないため、スーパーアニュエーション受給額を増やすための効果的なオプションです。
また、スーパーアニュエーション残高の制限(Total superannuation balance)は適用されず(対象となる個人は、スーパーアニュエーションの合計残高に関係なく、スーパーファンドにダウンサイザー拠出を行うことができる)、拠出先の課税所得に含まれない。
ただし、ダウンサイザー拠出を行うためには、様々な適格要件を満たす必要があり、この点においては必要に応じて専門家の助言を求める必要があります。
注目すべきは、2023年1月1日以降、政府は、ダウンサイザー拠出の対象年齢を60歳から55歳に引き下げ、同コンセッションへのアクセスを拡大したことです。
これにより、今までダウンサイザー拠出を行う資格がなかった55歳から59歳の個人も、要件をすべて満たせば拠出を行うことができるようになりました。
注:本書に記載されたコメントの多くは一般的な性質のものであり、情報を実際に適用される場合は、情報の解釈や特定の状況への適用について個別に確認するため、専門的な助言を求めるべきです。