月次レポート2019月7月号

月次レポート2019月7月号

労働者への「賃金の手渡し(キャッシュ・イン・ハンド)」は課税控除の対象外

オーストラリア国税局(ATO)は、2019年7月1日以降に「給料手渡し」で労働者に支払われたすべての賃金・給与について、課税控除の対象から除外することを公表しました。

「給料手渡し」とは、源泉徴収制度(PAYG)の義務を遵守せずに、現金にて労働者に賃金を支払うことを指します。

また、請負業者が事業者登録番号(ABN)を取得しておらず、その業者への賃金支払に対して源泉徴収されていない場合も、7月1日より課税控除の対象から外されます。

課税控除の対象外となってしまうことに加えて、雇用主が源泉徴収制度の義務を遵守しなかった場合は、規定により、源泉徴収とその申告を怠ったことについての罰金を科されるおそれがあります。

但し、雇用主が誤って従業員を「請負業者」と分類してしまったとしても、その従業員が雇用主に自身のABNを提供している場合は、課税控除が認められます。


ウーバー運転手は従業員とみなされない

フェアワーク・オンブズマン(FWO: Fair Work Ombudsman)はウーバー・オーストラリア社とその運転手の扱いに関する調査を完了し、ウーバー・オーストラリアと運転手の関係は雇用関係ではないと結論付けました。

つまり、ウーバー運転手は業務遂行において雇用関係上一切の公的なあるいは業務上の義務を負わない、という結論です。

1週間のうちに、もしくは1日のうちに、いつ、どれだけの時間を業務に費やすかを、ウーバー運転手は自ら決めることができます。とりわけ、ウーバー・オーストラリアは、ウーバー運転手が特定の時間に働くように要求することはありません。

従って、FWOは、本件に関して、コンプライアンス活動を行うことはありません。


ATOがクリーニング費用に関する不当申告に注目

ATOは、本年度の確定申告にて、業務関連の衣服やクリーニング費用に関する不当申告に狙いを定めて調査します。2018年には、約600万人の納税者が業務用の衣服やクリーニング費用として、合計15億ドル近くの控除申請を行いました。

カレン・フォート副局長は、衣服やクリーニング費用の控除を申請できるケースは多いものの、全納税者の半数が所得を得るためにユニフォームや防護衣服、職種限定の衣服着用を義務付けられているとは考えにくいとして、以下のように述べています。

「昨年、衣料やクリーニング費用に関する控除申請の四分の一が、記録保管が免除される限度額いっぱいの金額でした。しかし、領収証保管義務が免除されるからといって、控除申請が厳格に審査されないと考えるべきではありません。」

また、ATOは「一件ごとには少額の控除も数が増えれば多額となるので、少額であることを理由として」不当申告を無視することはないと付け加えています。

ATOはまた、普通の衣服について控除請求を行う納税者の多さについても懸念しています。例えば、小売労働者が普通の衣服について「上司から特定の色や、最新のファッションの着用を求められたから」、あるいは職場でのみ着用するからといった理由で普通の衣服について控除申請する場合等です。

ATOの精巧なデータ分析手法は常に改善されており、類似の職業の納税者の申告と比較することで、申告内容の異常値を特定することができます。

控除申請においてその根拠となる裏づけを示せなければ、控除が却下されてしまう恐れがあることを、納税者は知っておくべきです。また、場合によっては確定申告の提出時に十分な注意を怠ったことへの処罰も考えられます。


ライフスタイル資産のデータ照合プログラム

ATOは「2013-14年度及び2014-15年度におけるライフスタイル資産 (lifestyle assets) に関するデータ照合プログラム計画案」の詳細を発表しました。

船舶、愛好家向け自動車、サラブレッド競走馬、芸術作品、及び航空機等、特定の資産クラスの保険証券についての情報を取得することで、納税者情報の精度を上げ、納税者の資産や富の蓄積について、より包括的に把握できるようにしていきます。


小規模事業者の納税ヒント

本年度、小規模事業者による正しい納税を支援するため、ATOは小規模事業者の納税でよくある誤りの上位3点として、以下を発表しました。

  • 所得の一部申告漏れ
  • 小規模事業の経費額証明に必要な記録の不備
  • 私用経費(旅行費等)を事業経費として計上

2020年度フリンジベネフィット(FBT)における駐車料金限度額

2019年4月1日より、FBTの駐車料金限度額は8.95ドルとなります(前年度2018年4月1日からの限度額8.83ドルからの変更)。


ATOは受託者責任に注目:納税者番号(TFN)報告書

ATOは現在、受託者義務の遵守状況について調査しており、その調査内容には、閉鎖的信託 (closely held trust) の源泉徴収に関する納税者番号報告書(Tax File Number (‘TFN’) report)の提出が含まれています。

受益者は分配金額や未払いの確定給付額についての源泉徴収税を避けるためにも、自身のTFNを受託者に通知する義務があります。また、受託者は受益者からTFNの通知を受けた四半期について、TFN報告書の提出が必須です。

受益者がTFN番号を受託者に通知しない場合、受益者は以下を行わなければなりません。

  • 分配金から47%の税率での源泉徴収
  • 当該源泉徴収税のATOへの支払い
  • 年次報告書にて全源泉徴収額の報告

注:本書に記載されたコメントの多くは一般的な性質のものであり、情報を実際に適用される場合は、情報の解釈や特定の状況への適用について個別に確認するため、専門的な助言を求めるべきです。

私達はグローバル企業からオーストラリア国内企業まで、幅広い支援サービスに真摯に取り組みます。